FateGrandOrderというゲームのイベントシナリオで気になったので考えてみる。
fateのこと知らなくても大丈夫なように書くから大丈夫。
まず、敵(神)はこのように言っている。
「私が全人類を愛してあげる。救済と言ってもいいわ。
どんなに堕落しようとも私は全て受け入れ甘えを許しあなたたちを愛してあげる。
だからどんなにダメになってもいいのよ私の愛で満たすから」
(※実現可能。個人の愛の形に対応して無限増殖するため。)
それに対する主人公側の主張
「そんなのはダメだ!
全人類が愛で満たされてしまったら人は愛することをやめてしまう!
愛という概念がなくなってしまう!」
主人公側がわかりずらいので噛み砕くと以下。
愛で満たされたら愛というものは存在しなくなる。
なぜなら無限の愛を与えられた個人は他者を必要としなくなり単体で完結するから。
よって他者に向ける愛が生まれなくなる。
つまり愛は存在しなくなる。
うーん…なんか本当かなぁそれという気持ち。愛で満たされても他人へ愛情を向けることは可能なのではないかと私は思う。
まず敵は人の全ての欲望を満たし甘えを許しどれだけ堕落しようと愛すると言っている。
欲望とはなんだろう。シナリオ上は五戒(ごかい)という仏教の戒めを欲望としていた。wikipediaより引用
不殺生戒(ふせっしょうかい)
生き物を故意に殺してはならない。
不偸盗戒(ふちゅうとうかい)
他人のものを盗んではいけない。
不邪婬戒(ふじゃいんかい)
不道徳な性行為を行ってはならない。
不妄語戒(ふもうごかい)
嘘をついてはいけない。
不飲酒戒(ふおんじゅかい)
酒などを飲んではいけない。
上記を行うことを許すということはつまり敵の言っている愛とはルールのない自由を許容するということである。
許容しても誰も不幸にはならないのか?そこは全人類を愛し満たすと言っていることから神の力で上手いことやってくれるんだろう。
どれだけ自由に振舞っても常に承認してもらえるとなると消える概念は愛ではなく欲なのではないかと思う。
全てが可能で許される世界なら欲は常に満たされている。ならば欲は存在しなくなるのではないか?
欲がないのだから誰かに何かをしてもらう必要もなくなる。
そこで特定の誰か(Bさん)を愛する人(Aさん)がいたとしても、BさんはAさんの愛を必要としないのではないか。Bさんは欲しいものを全てもっているのだから。
であれば人間が他者を必要としなくなるのではなく、他者にとって愛は必要ないというのが正しいという気がする。言い方の問題かな。
一方的に愛するというのは難易度が高いと私は思う。だから愛は存在するが衰退していくのではないだろうか。
人間が全てに満足し、欲が消えたらどうなるのだろう。
まず欲しいものがなくなるのだから経済は成り立たなくなる。
仕事はしたい人しかしなくなるからインフラもなくなる。
何かを良くしようと思わなくなるから発展は止まる。
それで不便になったとしても神の力でなんとかしてくれるって神の依存度が高すぎて怖いな。
神の気分次第では一瞬で人類は滅ぶんじゃないか。主人公側の主張はどうあれ世界を守るために戦うという選択は正しいと思った。
個人的にはいずれ人間が滅びたとしてもそれまで楽しく穏やかに嫌なことが何もなく暮らせるならそっちの方がいいなぁと思うけど。
ということでまとめます。
「愛で満たされたら人は愛することをやめてしまうのだろうか」という疑問に対しては、
「愛することの難易度が上がるので衰退していく」が私の回答です。
以上。